親族・他人の建物を壊す際、委任状は必要ですか?
建物の所有者である親族が遠方に住んでいるため、代理で解体工事の手続きを進める予定でいます。壊す前には所有者の委任状等をもらったほうがいいでしょうか?また、解体業者との契約は親族の名義にしたほうがいいですか?
取り壊しに関しての委任状は必須ではありませんが、取得していただくことをお勧めします。
委任状は必須ではない
他人の建物を壊す場合でも、口頭で本人の同意さえ得ていれば書面での委任状の必要性はありません。解体工事会社によっては、委任状の提出を求めてくることもありますが、血縁関係が認められる場合には、それほど細かい話しをせずに工事を進めることが多いでしょう。
トラブル防止のために取得するべき
法的には必須ではないもののトラブル防止のために、委任状を取得していただくことを強くお勧めします。口頭でのやりとりは、後に形跡が残らないため、建物を壊した後で親族の方から「そんなことを頼んだ覚えはない」と主張されると、質問者様としても依頼されたことを証明する手立てがありません。人間関係を悪化させると共に、最悪の場合、損害賠償へとつながっていくため、解体を頼んだことの証明として委任状を取得していただくと良いでしょう。
契約者を依頼主にするのが最良
今回は質問者様が窓口となっているとのことですが、解体工事会社との工事請負契約の際に発注者を質問者様ではなく、依頼主様(親族・他人)にすることができれば最良といえます。解体工事は発注者である依頼主と、請負者である解体工事会社との直接の契約になりますので、特に質問者様が介在することなく、シンプルな方法であるといえます。支払いの面でも質問者様の手間が減りますので、可能であれば契約書を郵送でやりとりするなどして、依頼主様に直接契約を結んでいただくよう頼みましょう。
滅失登記や建設リサイクル法の届出に関する委任状は必要
工事請負契約に関する委任状は不要であると説明しましたが、80㎡以上の建物を壊す際に必要となる建設リサイクル法の役所への届出については、発注者(依頼主様)から業者への委任状が必要となります。また、建物を壊した後、滅失登記をするためにも委任状は必須となります。質問者様が滅失登記を行うのであれば、依頼主様が質問者様に登記を委任するという内容になりますし、土地家屋調査士が滅失登記を行うのであれば依頼主様が土地家屋調査士に登記を委任することになります。