所有者が失踪した建物を壊してもいいでしょうか?
敷地内に父名義の建物がありますが、老朽化して倒壊の恐れもありますし、その場所を駐車場として使用したいので解体を検討しています。しかし、父は数年前に失踪したまま連絡を取ることができません。父名義の建物を息子の私が勝手に壊しても良いのでしょうか。
勝手に壊すことには問題がありますが、失踪宣告を行い受理されれば解体を行うことができます。
勝手に壊すことはできない
お父様が失踪したとはいえ、勝手に取り壊すことはできません。質問者様が相続人である可能性は高いのですが、該当する建物の所有者は現時点ではお父様です。本人の承諾なく建物を壊し、万が一本人が戻ってきてから「どうして勝手に壊したんだ。弁償しろ」という主張をした場合に、質問者様に損害賠償の義務が生じる可能性があります。
失踪宣告
このような場合に行うべき手続きに失踪宣告があります。失踪宣告とは、不在者や生死不明の人を死亡したものと見なし、その人物に係わる法律関係を確定させるための制度です。失踪宣告を行い、それが受理されればお父様は死亡したものとみなされますので相続が発生し、相続人に建物を壊す権利が与えられます。
失踪宣告の要件
失踪宣告の要件は次の2つです。宣告が受理されるためには、双方が満たされている必要性があります。
失踪期間
失踪者の生死が明らかでなくなってから7年間を経過しているか、失踪者が戦争・沈没・震災といった死亡原因となる危難に遭遇して生死が1年間明らかでないことです。
利害関係人の請求
請求が利害関係人からされていることです。失踪者の親族など利害が生じる人間が、申請している必要があります。
具体的な手続き
申し立て
家庭裁判所に失踪宣告の申し立てを行います。申立書、戸籍謄本、利害を証する資料などを準備し提出します。
調査
申立人や不在者の親族に対し家庭裁判所調査官が調査を行います。その後、不在者本人による生存の届出や、安否を知る人間からの届けを求める催告が行われます。
審判の確定
裁判所が定めた期間内に届けがなかった場合に、審判が確定し失踪の宣告がされます。
役場への失踪届出
審判が確定してから10日以内に申立人は、市町村役場に失踪の申し立てをする必要があります。
相続人による解体発注
失踪者が死亡したとみなされるため、相続人による解体が可能となります。解体工事会社に工事を発注し取り壊しを行いましょう。