複数の所有者による共有名義の建物を壊す注意点はありますか?
長らく使用していない空き家の取り壊しを検討していますが、所有者が自分一人ではなく他にも複数存在するので、自分だけの一存で解体を決めてしまっていいものか悩んでいます。解体をした後の手続きも、自分だけで申請をしても受理されるのでしょうか。
他の所有者の合意を得た上で、取り壊しを行うことが大切です。無断で壊した場合には、訴訟に発展する可能性があります。滅失登記については、名義人1名の署名があれば問題ありません。
所有者全員の合意が大切
このような場合において最も大切なのは、他の所有者の合意を得た上で工事を行うことです。所有者が複数にまたがるというのは、相続の場合などに起こりうる事柄ですが、取り壊しの是非について親族の意見が分かれることは珍しくありません。
無断で壊すと裁判になる可能性も
しっかりと相談をせずに工事を行ってしまうと、後になってから「何で勝手に壊したんだ」というクレームから訴訟に発展することも考えられます。工事にあたっては、工事内容への同意と支払いに関する同意を明記した念書に全員でサインを交わした上で、工事を進めていくことがトラブルを避けるポイントです。
滅失登記は問題ない
一方、滅失登記については、共同所有者のうち1名が申請人となれば、問題なく手続きを進めることができます。法務局や土地家屋調査士に相談の上、手続きを進めていただくと良いでしょう。
長期の話し合いも覚悟すること
所有権が複数に分かれる場合には、お互いの利害がぶつかる可能性もあるため、話し合いが長期に渡ることも珍しくありません。工事スケジュールにはゆとりを持って、話し合いに望んでいただくのが良いと思われます。話し合いに見積りが必要であれば、事前に解体工事会社に作成を依頼しておくと良いでしょう。その際、業者にも「親族との話し合いのために概算金額を教えて欲しい」と伝えていただくと、見積りの流れがスムーズです。