解体工事の事故の種類や事例はありますか?
解体工事にはいろいろな危険がつきものだと思いますが、自分が依頼した工事現場で事故が起きてしまう可能性を少しでも減らしておきたいため、実際に起きた事故災害事例や種類を知っておきたいです。解体工事の現場で起こりうる事故や災害にはどんなものがありますか?
近隣住宅の破損、重機や車両との衝突、外壁の倒壊、外壁の崩落、足場からの転落、足場の倒壊、ガス爆発、アスベストの飛散など様々です。
事故の種類
近隣住宅の破損
工事中に作業員の不注意で近隣の建物やフェンス、塀といった構造物を破壊してしまう事故です。重機によるものだけでなく、手作業による廃棄物の搬出作業中にも起こりうる事故です。万が一起きてしまった場合には、近隣の方の立ち会いのもと、補修の方法を検討します。
重機や車両との衝突
工事中、重機や車両と、通行人や自転車などが衝突しケガを負わせてしまう事故です。工事中作業員は作業に集中するため、近隣の監視役が必要となりますが、無理なコストダウンのために監視役を省いてしまうと起きうる事故です。
足場からの転落
高所での作業中に、作業員が足場から転落してしまう事故です。この事故は、近隣の方にご迷惑を掛けることはあまりありません。しかし、落下の原因が過労による集中力の低下であった場合には、他の作業員が同様の状況にある可能性が高いため、工事品質の低下や他の事故のリスク増大が疑われます。
外壁の倒壊
解体途中の外壁が倒壊し無関係な通行人が下敷きになった事故です。2010年10月に実際に岐阜県で起きた事故では、17歳の高校生が命を落としています。本来であれば不安定な壁面を、ワイヤーで固定しながら工事を行うべき所を怠ったため、発生した事故です。
外壁の崩落
ビルの解体工事中に高層部の外壁の一部が、道路に落下し、乗用車が下敷きとなった事故です。2003年3月に静岡県で実際に起こった事故では、乗用車内の2名と落下した作業員2名が命を落としています。突貫工事による無理な作業が引き起こした事故です。
足場の倒壊
解体工事の際に建物周りに組んだ足場が、倒壊し道路に倒れる事故です。2012年12月に兵庫県で起きた事故では、高さ10mの足場が100mにわたって崩れ、通りかかった乗用車を直撃しました。幸い、ケガ人は出ませんでしたが非常に危険な事故といえます。足場の固定が不十分で、強風に耐えられなかったことが原因です。
ガス爆発
工事中、何らかの影響でガスが爆発し周囲に被害を及ぼす事故です。2011年2月に福井県で実際に起きた事故では、雑居ビルの解体作業中にガス管を切断したことでガスが漏洩し、何らかの引火源から引火し爆発が起きました。作業員3名がやけどにより負傷しています。事故の原因は、作業中の不注意によりガス管を損傷させたことです。類似の爆破事故は1991年に神奈川県で起きたガソリンスタンド爆発事故などがあります。
アスベストの飛散
アスベストがあるにも拘わらず、コストダウンのため本来行うべき対策を怠り、アスベストを近隣に飛散させる事故です。2011年5月に神奈川県で学校の旧校舎解体時に起きた事故では、煙突内にアスベスト(アモサイト)があることを知りながら、対策なしで解体を行い多くの子供がアスベストに暴露しました。
事故防止のために
このような事故は偶然ではなく、工事計画上の人為的な過失が原因となっていることがほとんどです。解体工事会社の責によるものもありますが、施主が無理な発注を行ったことによって事故につながった例も少なからず存在します。解体工事を発注する際には、「無理な値引き交渉をしない」、「十分な工期を設ける」といった点を守り、発注者責任を果たせるよう心掛けて下さい。