ロックウールは石綿(アスベスト)のような発がん性はありますか?
解体工事を予定しています。解体業者に現地調査をしてもらったら、建物にロックウールが含まれていると言われました。これは発がん性のある石綿(アスベスト)のことでしょうか。この建物を長年使用してきたのですが、人体に悪影響を及ぼしていないかどうか不安です。解体する際にも、アスベストのように特別な処理をしなくてもいいのでしょうか?
ロックウールには発がん性が確認されていません。
ロックウールと石綿は別物
ロックウールを日本語に訳すと「岩綿」という言葉になりますので、ついついアスベストを連想してしまいますが、ロックウールとアスベストは大きく異なります。
成分
ロックウールは玄武岩、鉄炉スラグ、石灰などが原料となる人造の鉱物繊維です。それに対して、アスベストは蛇紋石や角閃石が繊維状に変形した天然の繊維の鉱物です。
繊維の形状
ロックウールの単繊維径は3〜10μ(ミクロン)であるのに対し、アスベストの場合は0.02〜0.35μです。
体内での分解
ロックウールが大食細胞(マクロファージ)によって体内で吸収排出されるのに対して、アスベストはマクロファージによって分解できず周囲の細胞を死滅させます。
発がん性
国際がん研究機関「IARC」による分類では、ロックウールがグループ3(発がん性を分類できない)に対し、アスベストはグループ1(発がん性がある)とされています。
アスベストの代替品として作られたロックウール
1970年代にアスベストの健康被害が大きく問題となった後で、その代替品として広く使われるようになったのがロックウールです。1970年以降の建物の外壁内の断熱材や吸音材として、グラスウールと同様に利用されることが多く、現在でも新築の建物の建材として利用されています。繊維状の物質であるので解体時に、粉じん防止の対策(養生、散水)が必要ですが、その点を注意すれば特に大きな心配をする必要はありません。