一般廃棄物(一廃)と産業廃棄物(産廃)の混合処分は違法でしょうか?
解体工事の際に、不要になったタンス等の家具も解体で出る住宅の廃材と一緒に処分しておきますと業者から言われました。廃棄物には一般家庭から出る粗大ごみである一廃と、企業が出す廃棄物である産廃とがあると聞きました。この業者が言っていることは違法行為ではないのでしょうか。
違法にあたります。一廃と産廃は処分に必要な許可が異なります。同じ素材であったとしても両者は分けて処分することが定められています。
必要な許可が異なる
廃棄物の取り扱いを定めた法律に廃棄物処理法があります。この法律では廃棄物の定義、取扱いに必要な許可、罰則といった内容が盛り込まれていますが、一般廃棄物と産業廃棄物では、「章」が分けられており、処理に必要な許可も分けて定義されています。
第二章 一般廃棄物
第二節 一般廃棄物処理業
(一般廃棄物処理業)
第七条 一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、一般廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその一般廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
第三章 産業廃棄物
第三節 産業廃棄物処理業
(産業廃棄物処理業)
第十四条 産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を除く。以下この条から第十四条の三の三まで、第十五条の四の二、第十五条の四の三第三項及び第十五条の四の四第三項において同じ。)の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、産業廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
混合処分は違法
解体の現場では、タンス等の木製品を建物内に残したまま解体工事を行い、そのまま建物と廃材を併せて処分を行う行為が一般的となっています。建物から出る木製品と併せて処理をしてしまえば、物理的に工事を進めることは可能ですが法律上では違法です。厳密には「タンスをそのままくずしてしまう」のではなく、「解体工事会社が下請けの一般廃棄物処理業者にタンスの処分を移管する」という措置が必要です。
法に則った処分を
施主にしてみれば、一廃や産廃の区別はあまり大きな差が感じられない内容です。また、解体工事会社がそのまま壊してしまえば、手間も掛からないため業者から「そのまま壊しておきましょうか?」と聞かれれば、承諾してしまいがちです。しかし、そのような申し出を受けるのではなく、一般廃棄物として処理することを明確に要求するか、自身で粗大ゴミとして処分するという対応を行うことが、良識ある施主の態度として必要です。
補足:混合処分ができる例外
なお、市町村が合理的な判断を行った場合に限り、市町村自身が廃棄物を混合して処分することが認められています。
第十一条
2 市町村は、単独に又は共同して、一般廃棄物とあわせて処理することができる産業廃棄物その他市町村が処理することが必要であると認める産業廃棄物の処理をその事務として行なうことができる。
しかしこのような場合でも廃棄物処理法以外の法律(補助金適化法)に抵触するそれがあるため、実際にも市町村がほとんど行っていないのが現状です。