工事中の騒音で、工事が差し止められることはありますか?
これから家の取り壊しを行います。工事期間中、近隣に響く騒音が心配なのですが、騒音が原因で工事が中止されてしまうことはあるのでしょうか。もし近隣からクレームが来たら、工事を中止することになってしまいますか?
国土交通省の定める解体に関する仕様を守っている限りは、可能性は低いといえます。
解体工事に騒音はつきもの
壊す物件が、住宅なのかビルなのか。材質が、木造、鉄骨、コンクリートなのかで騒音の程度は異なりますが、解体工事に騒音はつきものです。解体工事会社も予防策は行いますが、それでも漏れる分に関しては仕方のないものとして、工事が進められるのが一般的です。次のようなポイントを守っている限りは、問題なく工事が進むことが期待されます。
ポイント-1 建築物解体工事共通仕様書に沿っていること
解体工事の仕様については、国土交通省が定めたものに「建築物解体工事共通仕様書」があります。同仕様書には、騒音について次のように記載されています。
騒音・粉じん等の対策
(a)騒音・粉じん等の対策は,次の(1)から(3)により,適用は特記による。特記がなければ,(1)による。
なお,シート類は防炎処理されたものとする。
- 防音パネルは,隙間なく取り付ける。
- 防音シートは,ジョイントの重ねと結束を十分に施す。
- 養生シート等は,隙間なく取り付ける。
(b)防音パネル等を取り付ける足場等の設置範囲,高さ等は,特記による。足場等は,防音パネル等の取付けに適した材料及び構造のものとし,適切な保守管理を行う。
(c)ブレーカー,穿孔機,破砕機,圧砕機等による粉じん発生部に常時散水を行う。
(d)3.1.2[用語の定義](3)による「転倒解体」を行う場合は,転倒解体箇所及びその周辺部に十分な散水を行う。
以上のような仕様を守らない場合は、役所(自治体)から何らかの行政指導・行政処分が行われる可能性がありますが、守っていれば役所によって強制的に工事が中断されることはありません。
ポイント-2 近隣への説明をしっかりと行っていること
解体工事前に近隣住民へのあいさつと説明を、しっかり行っていることも大切なポイントです。いくら仕様に沿っているからといっても、近隣住民の方が業者に文句を申し立てることで工事の妨げになったり、住民の方が役所に騒音被害を通報することで、施主がいやな思いをすることも考えられます。「工事の時はお互い様」と思っていただくためにも、近隣の方への丁寧なあいさつと説明は重要です。