長屋を切り離した後の外壁補修費用の負担はありますか?
現在住んでいる長屋を引っ越すので、切り離し解体を考えています。長屋は隣家と壁を共有しているので、切り離しをすると隣家の外壁がなくなってしまうのですが、その補修費用は誰が負担することになるのでしょうか。
施主の負担を条件に隣家の方の承諾を得るのが一般的です。
取り壊しには建物所有者の承諾が必要
長屋のように一つの建物を複数の人数で所有する場合、区分所有法が適用されます。長屋の切り離しは柱や梁といった構造体(=建物の共用部分)を変更する工事となりますが、該当する条文として次のような記載があります。
(共用部分の変更)
第十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
つまり、長屋の切り離しを行う際には、「長屋所有者の四分の三以上の賛成」と「隣人の承諾」の双方が必要となります。
施主が負担するのが一般的
外壁の補修に関しては施主が負担するのが一般的です。施主の都合で行う解体工事について隣家の方の同意を得るためには、隣家の方の納得いく条件であることが大前提となります。「自分の都合で取り壊しを行うが、補修はしない」という条件に対して、同意をしてくれる人はまず存在しないでしょう。施主負担での外壁補修を前提条件として「極力ご迷惑を掛けないようにするので、取り壊しに賛成してもらえないか」という低姿勢で合意を求めるのが良いと思われます。無理な要求をして気分を害されてしまったら、解体自体が不可能となることもあります。慎重に交渉を進めて下さい。
承諾は書面にて
もしも、切り離しを前向きに検討してもらえるようであれば、承諾書を作成しそちらに記載してもらうことで、意思表示をいただくのが良いでしょう。口頭のやりとりだけでは、後になって同意を得たという証拠が残らず、トラブルになる可能性も否定できません。「解体工事会社が着工するための条件として承諾書を求めている」と説明すれば、角が立つことも少ないと思われますのでぜひ書面に一筆もらうよう手配して下さい。