賃貸住宅(アパート、マンション、戸建貸家) -賃貸住宅のメリットとデメリットを解説
地方では空き家解消に取り組む自治体も増えていますが、空き家の活用方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
一般的な考え方としては、従前の建物を取り壊して、更地にしてからその活用を始める方法があります。
その活用方法は新たな収益を生む建物を建築する、つまり賃貸住宅(アパートやマンションなど)を建てるということです。空き家を解体して行う活用方法の中で、賃貸住宅を建てるということは一般的な方法です。
賃貸住宅のメリット
この賃貸住宅活用を行うメリットとしては主に2つのことが挙げられます。
1つ目に、市場ニーズに合わせて効率的な賃貸のプランを作ることにより、長期的な安定収入が確保できる点です。その結果、副収入や、将来の自分年金づくりにも役立ちます。
2つ目に、ローンの借入が可能であり賃貸のニーズがある場所であれば、少ない自己資金でもレバレッジ効果が図れるとされています。
空き家の場所が賃貸需要に旺盛なエリアであれば、建物階数を上げて賃貸戸数を増やして、収益を上げることが可能ですが、建築コストは高くなるのでローンの借入が必要になります。賃貸の事業計画の中で、ローンの返済やそのほかの維持コストよりも賃料(収入)が大幅に上回る場合には効果的です。
そのほかのメリットとしては、住宅系の土地活用であれば土地の固定資産税などが上がらず、逆に下がる場合もありますし、借入や貸家建付地の評価減などで相続税の節税効果があるとされています。
また、当初は既存の建物を解体しないでそのまま賃貸として貸出し、その賃料を不動産所得として申告してから既存建物を解体すると、解体費用は不動産所得の経費として計上できます。
特に、長年愛着のある土地であれば、なかなか売却をするということは考えたくないものです。したがって、賃貸住宅を建てるということは、愛着のある土地を残せるという1つの手段にもなります。
賃貸住宅のデメリット
先ほど賃貸住宅のメリットをお伝えしましたが、今度はデメリットについて見ていきたいと思います。
賃貸住宅のデメリットとしては、やはり賃貸経営特有のリスクを背負うという点にあります。
例えば、空室になった場合の賃料の下落やローン金利の上昇、入居者の入れ替えや建物の老朽化に伴う修繕費の増加、また、入居者による火災や自殺といった事故などが賃貸経営のリスクとして挙げられます。
こうしたリスクは賃貸住宅にはつきものですが、管理を他人(不動産管理会社)に任せてしまう方法で少しでも回避することは可能です。
また、不動産自体は流動性が悪い、つまり、お金に換えにくいという難点があります。株や債券といったものと違い、すぐにお金に換金できないのが不動産の特徴です。
例えば、賃貸住宅を将来売却する場合、賃貸住宅の収益が芳しくないと売りづらくなり、将来的には今、現在の売却額よりも下回るという可能性もあります。
さらに、レバレッジを効かせるために銀行などの融資の借入をしたい場合には、賃貸経営の事業承継者(=相続人=連帯保証人)が必要になるケースがあります。
特に、土地や建物の所有者が高齢の場合には、事業継承者が決まらないと融資が下りないということも散見されます。
したがって、ローンを使って賃貸住宅を建てる場合には注意が必要です。
また、賃貸住宅を建てた後に相続が発生し、相続人がこの賃貸住宅の遺産を分けたいと思っても、当然ながら建物を切り離して均等に分けることは不可能です。
加えて、相続税対策として賃貸住宅を建築して税金の軽減ができたとしても、相続税を支払う現金がないという場合も想定できます。賃貸住宅の建築費に多くの自己資金を費やした場合には、こうしたケースも実際にありますので、むやみに相続税の軽減だけに重きをおいた賃貸住宅の建築には注意が必要です。
まとめ
ここまで、空き家の活用法として、空き家を取り壊して賃貸住宅を建築する場合のメリットとデメリットを見てきました。
特に、賃貸のニーズがある立地では有効な土地活用の方法になりますが、賃貸の需要自体が少ない場所では向かない場合もありますので、賃貸住宅のメリット・デメリットはよく理解しておくことが重要でしょう。
空き家の活用方法として、空き家を取り壊して賃貸住宅を建てるという活用方法には一長一短があるので、賃貸需要などをよく調査してから計画を立案することをおすすめします。