土地活用の一手法。貸店舗とは?-メリットとデメリットを解説
立地が良ければ貸店舗で収益アップも
駅前の一等地を保有していれば貸店舗の成功率は高くなりますが、誰もがそのような土地を持っているわけではありません。一方で、幹線道路沿いの駅から離れた土地でも貸店舗としての需要はあります。むしろ、車利用の多い地域ではそのような立地のほうが店舗の成功の可能性は高くなります。また、駅前ではコストのかからない木造での計画ができない場合が多いですが、郊外であれば木造でのコストを抑えた計画ができることがあります。
一般的に考えて集客が厳しい地域でも、昨今ではインターネット基盤で安定している企業などは立地を気にする必要がない場合もあります。ただ、絶対的に家賃は低くなるため、駐車スペースや建物面積などの計画を事前にテナント募集をかけたうえで行う必要があります。
テナントの種類
各地域に用途地域というものが定められています。 市街地は商業系の用途地域として、そこから近隣商業、住居系と市街地から離れていくにつれ配置されていくのが一般的です。
貸店舗を計画するにあたり、計画地の用途地域の確認が必要です。用途地域により、テナントの業種にも制限がかかります。低層、中高層住居系地域では事務所、店舗、遊戯、風俗営業は難しくなりますが、日用品や喫茶店、理髪店など業種と規模により計画可能なものもあります。
店舗と住宅の併用や独立店舗型などの構造的な種類の検討も必要です。 上記の制限は細分化されているため、専門家による調査が必要ですが、最寄りの区役所や市役所内の建築課などで無料相談も可能です
また、店舗と言っても建築基準法では物販店舗か飲食店舗かで、建物へ要求される防火性能や基準が大きく異なります。つまり、建物の構造や建築が可能かの判断基準ともなるため、初期の段階で土地の属性から何が計画できるのかを調べることが重要です。
しっかりと法令に沿った形でのテナントを計画することを怠り、入居後に行政からの指導が入った場合、テナントの移転費や退去などによる損害賠償請求といったことへ繋がりかねないため、しっかりとした専門家の調査が必要です。
貸店舗のメリット
店舗は共同住宅などのように引越しを気軽に行えないため、入居者の入れ替わりが比較的に少なくなります。また、個別の面積も広く設定されることが一般的です。
工事費の点でも、住居のように浴室やキッチン、洗濯機置き場などの設備もないため初期設備投資が比較的安くすみます。内装も業種やテナントによりけりのため、スケルトン(内装なし)状態で提供することも可能です。
また、共同住宅などでは規制のかかる採光や避難も住宅ほど厳しくないこともあります。そのため、共同住宅やアパートなどを立てることができない場合でも店舗系が建てられる可能性があります。
貸店舗のデメリット・リスク
貸店舗の利用者は住宅のように特定の入居者だけではなく、店員やお客様などの不特定の人物が建物を利用する形態となります。そのため、予期せぬ近隣トラブルや事件などの発生も否めません。共同住宅のように多数の世帯が入るわけでもないのが一般的なので、空室時の損失も大きくなってしまいます。
また、用途地域と防火の兼ね合いから、店舗系の計画がしやすい商業系の地域では構造が木造では厳しくなる場合もあります。その際には鉄骨造やコンクリート造での計画が必要となり、コストがかかってしまう場合があります。
貸店舗の建物構造
建物の造りとして、柱が比較的多く出てしまう木造では構成が厳しい場合もあります。また、木造では壁の有無が構造に直結するため、大開口が一部分に偏ることは建物の弱さにつながることもあります。道路側のショーケースや入り口を大きく開けたい店舗では設計に工夫が必要なことがあります。
鉄骨やコンクリート造は商業系の地域でも耐火構造の設計が容易なため計画がしやすいです。また、建物階数も3階を超える計画が可能です。
郊外の店舗では木造も多数採用されていますが、駅前の商業地域内では規模の制限がかかります。そのため、鉄骨やコンクリートの構造を検討することとなりますがデメリットはコストです。鉄骨は木造の1.5~2倍、コンクリートは木造の2~3倍のコストがかかります。
貸店舗のデザイン
商業地などの密集した場所では、道路面の開口以外はほとんど見えない状態の立地も多く、コストを抑えたサイディングやALCによる計画が現実的なうえ、コストも抑えられて効率が良い計画となります。そのような土地で、貸店舗の差別化を図るには柱の配置や柱型の有無です。木造は壁の内部に柱が隠れてしまう構造のため、あまり柱は目立ちませんが、鉄骨造やラーメン構造のコンクリート造では柱型が出てきます。 そのような計画では予定していたショーケースが入らなかったり、什器の配置が効率の悪い隙間ができてしまったりとしてしまいます。 ですが、それらは設計の段階で壁構造のコンクリート造や柱を小口径にして壁の中におさめる鉄骨造とすることで回避できます。 デコボコのない壁面を計画することでテナントの什器や内装の自由度が格段と増します。同じ面積でも内装の自由度の高い建物が選ばれることは間違いありません。
逆に郊外の土地では建物のデザインが目を引く要素ともなります。デザインを凝るとコストが上がると考えられがちではありますが、そもそもの要素としての壁と屋根はどのような建物でも出てきます。壁と屋根の形状を少しデザインするだけで地域のランドマークとなるような貸店舗の計画ができるでしょう。