空き家を解体するメリット・デメリット|主な相場と解体工事会社(解体業者)の選び方
空き家を解体するメリット・デメリット
長い間住んでいない空き家を持て余し処分を検討されている方や老朽化が進み建て替えや土地活用を検討されている方も多いのではないでしょうか。
ただ、空き家を解体したいけど、「分からない事が多くて不安でそのままにしている」といった声も多くいただきます。
空き家をそのままにすることによる景観の悪化、放火や窃盗といったトラブルに発展するケースも少なくありません。
安心して検討できるように空き家を解体するに至った主な背景からメリットやデメリットについてご説明します。
空き家の解体が考慮される主な背景
空き家を解体する際の背景としてどのような理由があるのでしょうか。
解体後の土地活用を検討しているケースととりあえず解体するケースについてご紹介します。
土地活用を検討しているケース
建て替えや売却、駐車場経営をするために建物を解体し、更地にされる方が多いです。
土地活用をする方法によっては、解体後の土地の高さをどうするか、ブロック塀は残した方がいいなど工事内容を解体工事会社(解体業者)へ指示する必要があります。
また、その後の工事にも影響してくるため、工期を十分に確認して解体工事会社(解体業者)へ依頼しましょう。
一般の木造住宅であっても遅くとも2-3ヶ月前には見積もりを取ることをおすすめします。
とりあえず解体するケース
空き家のメンテナンスが億劫で解体する、近隣への迷惑や被害が出る前に解体する、近隣からの苦情や行政指導により解体する方が多いです。
この場合、工期がいつまでと決まっていないため、先延ばしになる事がありますが、空き家を放置しておくと近隣住民に大きな被害、迷惑を掛けてしまう恐れがあることを忘れてはいけません。
近隣へ損害の被害が出た場合は損害賠償義務を負う可能性があります。
老朽化した建物では、強風や地震で屋根が飛んだり、倒壊の危険が高く、大事故を招く可能性を考慮し解体を検討しましょう。
また、平成27年5月26日に施行された「空き家対策特別措置法」に基づき、不適切な状態の空き家は「特定空家等」に指定されます。
行政指導に応じない場合、固定資産税の軽減措置対象から除外や行政代執行をされます。
何よりも被害があってからでは遅いため、メンテナンスを行わない場合は早期の解体を心がけましょう。
空き家を解体するメリット
・空き家の管理が必要無い
空き家の管理の手間、費用の削減が出来ます。
空き家を維持すると手間や費用が発生します。
年に数回、風を通したり、掃除をしたりと空き家のメンテナンスをしに行くという方も多いでしょう。
また、空き家を維持すると、管理費も発生します。
管理費として代表的なものは、固定資産税・都市計画税、火災保険料、外部に管理を任せる費用(管理費やセキュリティ費用)、補修費用です。
年間数十万円になるケースもあります。
そのまま維持すると、年間数十万円ものコストがかかる場合なら5年、10年もすると百万円単位の負担がかかってしまうことになります。
遠方であればあるほど、労力もお金も多く発生します。
維持していくと継続的に掛かる手間や費用が無くなると考えると、解体するメリットと言えるでしょう。
・売却がしやすくなる
一般的に老朽化した建物が建っているよりも更地の方が、売却がしやすく、地価も高くなりやすいです。
買い手としては、更地は土地活用をする際に配置などがイメージしやすく、すぐに着工できるメリットがあります。
そのため、売却が容易になるケースが多いです。
買い手を見つけるまでの間は駐車場として活用すると土地の維持費に充てられるのでおすすめです。
空き家を解体するデメリット
・固定資産税の軽減措置を受けられなくなる
固定資産税の軽減措置を受けられなくなり、土地の税金が上がります。
ただし、テレビやインターネットでよく言われる建物を解体すると土地の税金が6倍と言われるのは誤りです。
不動産には、毎年固定資産税がかかり、市街化区域内にある不動産には、あわせて都市計画税もかかります。
住宅が建っている土地の場合、固定資産税や都市計画税が大きく軽減されます。
具体的には、敷地面積200㎡までの部分を「小規模住宅用地」といい、固定資産税の課税標準が1/6、都市計画税の課税標準が1/3に、200㎡を超える部分については「一般住宅用地」として、同じく1/3と2/3に軽減されます。
しかし、更地でも税金は軽減されなくなるわけではありません。
これを非住宅用地の負担調整といい、更地やお店が建っている土地でも、課税標準は固定資産税評価額の7/10以下になっています。
つまり、建物を壊して更地にしても、固定資産税は6倍ではなく約4.2倍、都市計画税は約2.1倍です。
市街化区域では、固定資産税と都市計画税を合わせて約3.57倍になります。
さらに空き家を解体すると、翌年から建物の固定資産税・都市計画税もゼロになるので、税額の差はさらに少なくなります。
地方のように、土地の固定資産税評価額が低い場所に立派な建物が建っていて建物の税額が高い場合などは、解体した方が、税金が安くなるということさえあり得るのです。
また、空き家が建っている場合、建物の維持管理コストもかかるので、それらも合わせた総コストを比べてみて解体するか、残しておくかを検討することをおすすめします。
・解体費用が発生する
建物を解体すると費用が発生します。
建物の解体費用の他に残置物がある場合はその処分費用も必要となります。
解体費用と空き家の管理費を比較した上で、検討されると良いでしょう。
また、後述しますが解体の見積もりを取る際は複数社の相見積もりをされることをおすすめします。
【種類別】空き家の解体費用の相場
※下記に、建物の種類別の相場をご紹介します。相場の金額は、視認性向上のために太字または色文字などでご記載いただけますと幸いです。
木造住宅の解体費用の相場
木造住宅とは?
柱や梁などの構造体に木材を用いた住宅です。W造とも言います。
木造住宅の解体費用相場は?
31,000円~44,000円/坪
現在、解体されている住宅の多くは木造住宅です。鉄骨造、RC造ほど頑丈ではないため、他の構造に比べると安価に解体できる事が多いです。
鉄骨造住宅の解体費用の相場
鉄骨造住宅とは?
柱や梁などの構造体に鉄骨を用いた住宅です。S造とも言います。
鉄骨造には重量鉄骨造と軽量鉄骨造に分けられます。
違いは鋼材の厚みです。
6mm以上を「重量鉄骨構造」、6mm未満を「軽量鉄骨造」です。
前者は主にビルや高層マンションなど大規模建築物をつくる際に、後者は「軽量鉄骨造」は一般住宅や小規模店舗などで用いられるケースが多いです。
木造より強度が強いため、解体費用は高くなります。
鉄骨造住宅の解体費用相場は?
34,000円~47,000円/坪
木造より頑丈なので少し割高になっています。
RC住宅の解体費用の相場
RC住宅とは?
柱や梁、床・壁などに鉄筋コンクリートを用いた住宅で、鉄筋コンクリート造とも言います。
鉄筋コンクリートとは太さ10-30mm程度の鋼鉄製の丸棒の鉄筋をコンクリートの中に埋め込んだものになります。
特徴は木造や鉄骨造に比べて頑丈なことです。
頑丈な理由としてはそれぞれの特徴にあります。
・鉄筋は引張力に強く、熱に弱く錆びやすい
・コンクリートは熱に強いが、引張力に弱い
頑丈なことから低層マンションやビル等によく用いられる構造です。
RC住宅の解体費用相場は?
35,000円~80,000円/坪
木造や鉄骨造と比べて頑丈で解体しづらいため、上記のような価格となります。
ただし、住宅かビルかなど種類によって、解体費用も大きく変動します。
アパート・長屋の相場
アパート・長屋とは?
一般的には木造、鉄骨造などの低層建築物の集合住宅の事を指します。
構造の関係から解体する際はアパートは1棟、長屋は所有区分のみを解体する事が多いです。
アパート・長屋の解体費用相場は?
構造によって費用の相場は異なります。
木造の場合 3,4000円~53,000円/坪
軽量鉄骨造の場合 35,000円~56,000円/坪
長屋は所有区分のみを解体する事が多いため、切り離し工事が発生する可能性が高いです。
切り離し工事は撤去をしても問題の無い柱や梁を見極め、一部、手解体をする事になるので通常の木造住宅の解体費用相場より割高になる事が一般的です。
また、解体工事後には壁の補修工事も必要となり、その分施工費が掛かります。
ビル・マンション
ビル・マンションとは?
一般的には重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)などの高層建築物の集合住宅や集合オフィスの事を指します。
頑丈で面積が大きい建物が、戸建住宅より解体工事の期間が長く、振動や騒音も大きいため、より近隣への配慮が必要となります。
ビル・マンションの解体費用相場は?
構造によって費用の相場は異なります。
重量鉄骨造の場合 30,000円~45,000円/坪
鉄筋コンクリート造(RC造)の場合 35,000円~80,000円/坪
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の場合 45,000円~100,000円/坪
店舗・工場
店舗・工場の解体物件は?
設備や構造が特殊な場合が多いです。
店舗・工場の解体費用相場は?
重量鉄骨造の場合 30,000円~45,000円
在来木造(木造軸組み工法)の場合 25,000円~40,000円
内装解体・原状回復
内装解体・原状回復とは?
内装解体とは建物の内装部分の解体工事です。
原状回復とは入居時の状態に戻す修繕工事です。
建物の構造体以外の内装をすべて解体する事をスケルトン解体やスケルトン仕上げなどと言われます。
内装解体・原状回復の解体費用相場は?
15,000円~40,000円/坪
内装材や内部設備の撤去、廃材を運ぶ手間、原状回復の程度が費用に直結してくる項目です。
その他
解体工事のその他の項目とは?
ブロック塀や樹木などの本体工事以外の解体作業の事を指します。
その他の解体費用相場は?
ブロック塀 5,000~8,000円/㎡
土間コンクリート斫 1,000円~2,000円/㎡
樹木 10,000円~30,000円/本
浄化槽・井戸撤去 各50,000円
カーポート撤去 50,000円~100,000円(車1台分)
※あくまでも一般住宅のその他工事の目安金額です。
空き家の解体費用を節約するポイント
解体業者が作業しやすい環境をつくる
建物の内外に残った紙、布製品、陶器製品のゴミ、家財道具などの残置物やお庭の植栽を整理、処分しましょう。
残置物が残っていると、解体業者(解体工事会社)から別途処分費用が請求されたり、資格の関係から処分が出来ない場合はご自身でしてくださいと言われるケースがあります。
労力は掛かりますが、あらかじめ処分しておくと費用は削減できるでしょう。
複数の見積もりを取って費用を比較する
解体工事、新築工事ともに相見積もりを取って、価格を比較すると良いでしょう。
メーカーや解体業者(解体工事会社)によっては、何社も跨る事により、マージンが上乗せされ、費用が高くなるケースがあります。
相見積もりを取ることで価格競争も生まれ、コストダウンに繋がりますし提案のクオリティも上がります。
一方、事前に曖昧な見積もりの提示で、施工後に追加費用が発生するケースもありますので、それぞれの各社の工事内容に誤差が無いか見積もり時に確認をしましょう。
マージンを抑えた解体業者に相談する
自社で工事を行っているかを確認してください。
解体業者を名乗る業者の中には、自社で施工を行わず工事を下請けや孫請けに流しピンハネをする業者がいます。
ピンハネ業者に依頼をすると工事が割高になるか、下請けが無理な金額で工事を行うことでトラブルにつながる可能性があります。
そのため、くらそうねでは解体工事の専門業者へ工事を直接発注する事をおすすめしております。このように分離発注をする事で中間マージンを削減する事でき、納得の価格で、安心感のある良心的な工事を実現する事が可能です。「下請けに流さず自社で工事を請け負っていますか」という質問を投げかけることで、自社施工かどうかの判別が出来ます。