五輪誘致や消費税増税による解体工事業界の今後の動向

様々な要因が入り乱れる解体工事業界
五輪誘致の決定、消費税増税、アベノミクス、空き家の増加といった様々な要因により、解体工事業界の動向は地域差が大きく予測しづらい状況です。ここでは、そのようななかでも私達なりの予想をご紹介したいと思います。
長期的には成長市場
高度経済成長期に建てられた住宅が築40〜60年を迎え、各地で空き家問題が深刻化しています。行政も危険家屋の撤去のために独自で条例を設け工夫を凝らしていますが、このような現状はこれからも続いていくと思われます。解体が必要な家が多いという点で、解体業界は長期的な成長市場であるといえます。
五輪誘致で首都圏の工事業界はにぎやかに
それに加え五輪誘致は業界にとって更に追い風であるといえます。東京都の予測によると、五輪による建設業への経済効果は2020年までで4,745億円となっています。この効果の中には、新しい建物を作る前の解体費用も含まれていますので、首都圏ではより業界がにぎやかになるといえます。
消費税増税で住宅投資は1割程度減る
一方で全国的な影響が出るのが消費税増税です。みずほ総合研究所の予測によると消費税増税による住宅投資の落ち込みは、2014年度でベースライン比5.7%の落ち込み、2016年度でベースライン比で7.2%の落ち込みとなっています。五輪の影響を受けづらい地方では1割弱の落ち込みがあると想定しておいた方がよいでしょう。
共通するのは薄利と人手不足
全国的に共通して言えるのは薄利と人手不足です。一部の力のある建設業者が大規模な工事を受注し、小規模な解体工事会社は下請工事に従事するのが予想されますが、増税のしわ寄せや人件費の高騰により解体工事会社は低い利益で工事をせざるを得ません。また、建設業界への就業者数は年々減っていますが、一方でアベノミクスや震災復興、五輪誘致での特需が発生ししているため人手が足らないという現象が全国的におきています。
解体工事会社に求められる対策
このような現状を踏まえ解体工事会社が生き残るための対策をまとめてみました。一度にすべてに取り組むことは難しいかもしれませんが、「働いても働いても楽にならない」、「会社が不安定で先が見えない」という事態を招かないために一つずつ取り組んでいただくことをお勧めします。
元請化による利益改善
ホームページ集客や独自の案件開拓ルートを作り出すことで、元請化を図り利益改善をすることが重要です。「仕事があるからいいや」ではなく、仕事があるうちから新しいルートを作り粗利の高い仕事のみを残していくことで、粗利率20%を目指しましょう。
人手の確保
力のある作業員はより条件の良い仕事を求めて移動することが考えられるため、首都圏だけではなく全国的な人手不足がこれからも続いていくと考えられます。今の内から求人活動に慣れておくことで、採用のできる組織作りを目指してください。外国人労働者も一つの手段として考えてもよいと思います。
辞めない職場づくり
入社した作業員が他社に移らないような職場作りも重要です。職場の風土改善や、やりがいを見い出せる環境を作っていくことで、「給料は他社の方がよいけれどこの会社に残りたい」と思ってもらえるような職場を目指しましょう。