解体の見積書を比較するときのポイント
いざ見積りを取っていただくと解体工事会社によって、書式がまったく違うことも珍しくはありません。
そんな中で各社の見積りをいざ見比べようとしても、なかなか簡単ではありませんね。
それでは、いったいどのようなことに注意して比較を行うのが良いのでしょうか?
まずは工事項目を確認する
まず一番にするべきなのは工事項目の確認です。
各社の見積りを横並びにして、
『自分の要望が反映されているか』
『各社の項目は一致しているか』
という視点から、次の項目を順番に確認しましょう。
○建物の解体範囲
建物の面積は合っているでしょうか?解体工事会社の中には登記簿上の面積から解体金額を算出する業者もあるので、登記簿と実測の面積がずれている場合は、業者間で面積が変わってしまっていることもあります。実際より大きい面積で費用を算出している業者があれば、修正をお願いしましょう。
また、電話だけのやり取りで現場を見に行った場合は、壊す範囲が間違って伝わってしまっているケースもあるので注意が必要です。
○外構の撤去物
庭石・植木・ブロック塀・カーポート等の撤去範囲は合っているでしょうか?外構部分も解体費用の一部分を占める重要な要素です。解体予定地と見積書を比較して、希望のものが含まれているかどうかを確認しましょう。
○土のすき取り
解体工事と併せて土の漉き取りを依頼した場合は、しっかりと項目に含まれているでしょうか?+αの工事は忘れられやすくもあるので、しっかりと確認してください。
○敷地内の残存物
タンス、ソファといった残存物がある場合、撤去費用は含まれているでしょうか?残存物は一般廃棄物扱いになるため、一般廃棄物収集運搬許可を持っていない業者は撤去できません。業者によっては『自社では撤去できないため別途』となっている場合があります。
○アスベストの撤去
アスベストの撤去費用は含まれているでしょうか?まったく心配の無い建物なら良いのですが、中にはアスベストが含まれている可能性が高い建物であるにもかかわらず、『アスベストが発見された場合は別途見積』となっている場合もあるので注意が必要です。
○部分解体の養生
長屋の部分解体、離れの部分解体など、建物を切り離したあとの『養生費用』や『補修費用』は含まれているでしょうか?補修まで行う場合は大工さんの仕事になりますが、中には費用を見込んでおいてくださる業者さんもあるので、比較の上では条件を統一することが大切です。
○切り回し工事
他の家の電線が解体予定の建物を経由している場合は電気の切り回しが必要になります。また、一本の水道管を母屋と離れで分岐して使っている場合などは水道の切り回しが必要です(ガスなども同様)。そのような切り回し費用は入っているでしょうか?見落としがちな項目なので、注意してください。
○道路の養生
大きな建物を壊す場合、通常よりも大きな重機を使う場合がありますが、道路のアスファルトの割れを防ぐための養生(鉄板を敷く)が必要となることがあります。また他の人の私道を使わせてもらう場合、養生は礼儀となります。そのような養生の有無もしっかりとチェックしましょう。
○ガードマン
交通量が多い道路、通学路となっている道路等で工事を行う場合は、ガードマンの配置が必要になることがあります。ガードマンの費用は含まれているでしょうか?
○道路使用許可
敷地内に作業スペースが無く道路上で作業を行う場合、役所や警察署に届出をする必要があります。届出の費用は含まれているでしょうか?
○建設リサイクル法申請
80㎡以上の建物を壊す場合は建設リサイクル法の事前申請が施主に義務付けられています。申請代行費用は含まれているでしょうか?解体工事会社のサービスでしょうか?あるいは、施主自身で行うことになっているでしょうか?
各社で項目に対する見解が異なったら…
工事範囲、残存物撤去といった項目が抜けていた場合は修正を依頼すれば済むので、それほど難しいことはありません。
しかし、ガードマンや養生という点は事情が複雑です。
参考に、道路の養生を例にあげてみましょう。A社、B社の2社で相見積りを取ったときに、次のように意見が分かれたらどうでしょうか?
A社「万が一でも割れることがあってはいけないので、費用は発生しますが鉄板を敷きましょう。」
B社「これくらいの重量ではまず割れませんよ。万が一割れても補修すれば大丈夫ですから。」
・・・判断が難しいですね。(私道なら迷わずAですが^^;)
このような時は、仮にB社で鉄板を敷いたらいくらかかるか、割れた場合の補修費用はどれくらい負担しないといけないのか、どれくらいのリスクがあるのか、などを確認して、『最終的に割れようが割れまいが納得できる方法』で見積りを比較するのが良いでしょう。
大切なのは総額だけで決めないこと
ちょっと細かい例を挙げてしまいましたが、解体費用というのは業者の見解によっても大きく異なってしまうということがご理解いただけたと思います。
総額だけで「安い」と飛びついてしまうのではなく、『工事に対する考え方は妥当か』という点も踏まえながら結論を出すことが大切です。